DIF 花屋の草の根勉強会 ダイアローグ・イン・フラワー

2011年、4月20日から始まった、目的を持たない対話だけの花の勉強会です。主宰は東京・三鷹の花屋コクリコ・ガーデン店主 川口信也。毎月一度、水曜日の夜8時30分から10時30分、東京板橋市場の仲卸フラワーロードさんの前で行っています。参加は自由ですが、事前に連絡をいただいています。

2012年12月4日火曜日

第18回目のダイアローグ・イン・フラワーいたばしが行われました

平成24年11月28日水曜日、第18回目のDIFも寒さの中、無事終了。

28日は、板橋でデザインコンテストとデモンストレーションが行われ、いつになくにぎやかな板橋市場でした。3階の仲卸中央部で展示されている作品を見学させていただきました。

DIF18の参加者は、マツヤマ、川口の両名と、初めて参加の「植木屋」、有山茂寿(しげかず)さんの3名でした。稲毛さんは、ビッグな仕事が入ったらしく大量の花鉢を配達とのことで結局、終了時間までに間に合いませんでした。

● 第一部ボイス 5分間プレゼンテーション

マツヤマ:  植物の奇跡を信じる
 どんな年齢の人でもある日、植物に目覚めたりします。美しいなと思い、不思議だなと思い、知りたくなる。知りたくなると好きになります。ずっと、勉強して、なお、まだまだ不思議がつきません。国立科学博物館で仕事をしていた若い頃のエピソードや最近知った植物の「EOD反応」の不可思議さについて語りました。不思議さを伝えられる「プラントハンター」や「フラワーアーチスト」たちの活躍とつい最近聞いたばかりの雑誌「フローリスト」主催セミナーのお話をしました。NHKスーパープレゼンテーションのシェリー・タークルさんの話をしました。話すことの重要性について語りました。

川口:  社会的に弱い立場の人、花を買いたくても買えない人がいる
 近況を話したあと、要介護5というお母さんと過ごす時間について話し、その経験からさまざまなことに気づき、感じ取っている。いままで見えなかった社会の不条理、問題について考えるようになった。介護が必要なひとは、ほんの数センチの段差を自分で超えることができなかったりする。かつては、小さな子どもが自分のお小遣いをもって来られる花屋をめざしたけど、今は、車いすの人も花を買いに来れるバリアフリーなお店にしたい。でも、それには店の改造も必要で手を入れなければならない場所がいくつもある。
 花で暮らしを豊かにする。もうお金で買えるものはみんな持っている人たちのための最高のぜいたくな時間をつくる・・・こうした部分も花にはあるけれど、自分は、花が必要な人はもっと他にいて、そういうひとのなかには、買いたくても買えない人もいる。飾りたくてもそれが許されない人たちがいる。こうした人たちにどうやったら花をとどけることができのか、それを考えたいと話した。それは、ビジネスとして考えるのか、ボランティア、イベントとしてやるのかもよく考えていきたい。

有山さん: 造園関連の世界から幅広く多くの人とつながり自分の世界を広げたい
 植木の栽培、流通を手がける会社で20年以上の経歴。平成22年ごろから外に出て行こうと考え植木の輸出入関連や農水省、JFMAなどの関連イベントに顔を出すようになった。フラワバレンタインにも積極的に協力、震災後は、ただちに行動し、花の力プロジェクト、さくら並木プロジェクトなどに参加し、いずれも重要な仕事をしてきた。(麦わら帽子がトレードマークでだれからも愛される有山さんです)若いいけばな作家とも知り合い、いけばなの世界と植木、造園の世界の境界部分であたらしいものをつくるような夢を描いている。
 最近では、知り合いに誘われ池袋の会議室で朝の7時30分から8時30分まで行われる「朝活 アサカツ」にも顔を出している。

● 第二部シェア キーワードを決めて、フリートーク

話題の「農水省がすすめるMPS型(シール表示)日持ち保証販売」の是非を語るフェイスブックの議論について話した。シール型日持ち保証をパパママストアで行うことはありえないため、もっと自分たちが「どうなりたいのか」をことばにして話し、それを具体的にやっていくことを考えた。FFCNでは、「おもしろ保証」といったイメージでいくつかのアイデアをやっていこうと話したそうだ。農水省は、生販連携・花育(吉田室長)、産地表記(志村室長)、そして日持ち保証販売(表室長)、フラワーバレンタイン(佐分利室長)と数年ごとに取り組みを変えてやってきた。日持ち保証販売は、どのくらいの定着があるだろうか。

「楽しい」と「楽(らく)」は別なこと。 新聞にあった鹿島茂先生の一文を取り上げた。夏目漱石の文明論だった。日本人は、楽しいことがかならずしも楽なことと結びついていない。むしろ、ものすごく努力して求道するところがある。花を買って飾るのは「簡単」「テマ要らず」「水替え不要」といった考え方ははたして花を楽しむことにつながっているんだろうか?もっと、所作、ふるまいと花に触れることを連動したほうがたのしいんじゃないだろうか?こころにあたえるよい影響がたくさんあるんじゃないだろうか?そんな話をしました。

シェリー・タークルが語っていた、「オンラインペルソナ」「アローン・トゥゲザー」ということばや、SNSの短い文章のやりとりでは本当のコミュニケーションにはならない、といったことを話しました。DIFの意義。人が集まって、よく話す、よく聞く環境を用意することについて話しました。フラワートークナイトの意義についてあらためて話しました。

「福島に咲くすべての花をひとつひとつ残らず全部数えて記録しろ」というスローガンについて話しました。 壊れやすいもの、はかないもの、弱いものに強さを求めるのではなく、壊れやすいもののまま、はかないもののまま、弱いままに尊重する社会をたいせつに考えたいね、と話しました。

園子温監督の「数」という詩をもとに考えました。
https://www.facebook.com/greenwingsjapan/posts/375880499172080

※ 次回のDIF19は、12月12日水曜日 いっちにいっちにです。




2 件のコメント:

  1. 「インタラクション」2013年に向けて 花にもっと触って!

    インタラクション=interacition=inter-action=相互作用

    DIF18で話題になったこと。「お客さまがおうちに帰って花をいじるように設計する」ということをちゃんと意識してやろう、ということ。

    お手軽ですよ、なんのテマもいりません、水替え不要、そのまま花瓶に入れるだけ、切る必要もありません、花瓶も要らない、日持ちします・・・・・

    「こんなのつまらないんじゃないかなと、わたしたちは、思うんです。」というメッセージをお客さんにさまざまな手段でつたえていく。

    お客さんが花に触れる、花が何かを返してくれる。お客さまと花との関係性に目を向ける。「いけばな」とはそういう営み全体をさすものとして長く伝わってきた。オアシスに花をアレンジしてカゴのまま飾る、というのは、ほんの30年ほどのことでしかない。

    インタラクティブであるほうが、花をとことん楽しみ尽くすことにつながる。花に触って!花に触れることでカサカサと音がしたり、匂いが出たりする。花が揺れる、手にひんやりとした感触が伝わる。五感が脳を刺激する。こういうことを大切にしていきませんか?

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  2. 深澤直人さんのことばを借りれば、「花はほんとうの自分に向き合うためのインターフェイスである」ということになりましょうか。

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