DIF 花屋の草の根勉強会 ダイアローグ・イン・フラワー

2011年、4月20日から始まった、目的を持たない対話だけの花の勉強会です。主宰は東京・三鷹の花屋コクリコ・ガーデン店主 川口信也。毎月一度、水曜日の夜8時30分から10時30分、東京板橋市場の仲卸フラワーロードさんの前で行っています。参加は自由ですが、事前に連絡をいただいています。

2012年6月14日木曜日

第15回目のダイアローグインフラワーDIF 花屋の草の根勉強会のおしらせです


【 第15回ダイアローグインフラワー開催のお知らせ 】

 第15回目のダイアローグインフラワーDIF 花屋の草の根勉強会のおしらせです。

 DIFは、花に関わる人たちが、毎月一度集まって、膝をつき合わせて話ができる場所を用意しています。気軽に深く、話をしましょう。

 第15回目は2012年7月25日(水)に開催いたします。いつもは第2水曜日ですが、7月は東京がお盆のため、第4水曜日とさせていただきます。

時間20:30~22:30  

場所 板橋市場花き部仲卸フラワーロードさん店頭広場

ひとりひとりの持ち時間を決めてしっかりと聞き、話す、5分間プレゼンテーション「ボイス」の第一部、 第二部は、第一部のプレゼンを受けて、その場でテーマを決めて話す、聞く「シェア」の二部構成でやります。

初めての参加者をいつも募集しています。

他人事ではなく、うわさ話でもなく、自分にとって今、大事なことについてぜひ話を聞かせてください。

花屋のソーシャル・ラーニング たったの5分話すだけ。

ここにいる人たちは、圧倒的な集中力で、あなたの話をまるごと聞きます!

 草の根勉強会の定員は8名です。

参加費は無料。

筆記用具だけ持参してください。毎月開催しています(基本は第2水曜日の夜です。毎月一度行っています)。

 花屋さんでも花の生産者さんでもアルバイトの人でもどなたでも参加できます。 仕事をがんばって終わらせて、かけつけてください。

 dialogueinflower●gmail.com (●を@に変えて) のメアド宛に参加申し込みするか、フェイスブックのイベントページを利用してください。 よろしくお願いいたします。

 【 フェイスブックでも参加を募っております 】

http://www.facebook.com/events/386739764716687/

第14回目のダイアローグ・イン・フラワーが行われました


第14回目のダイアローグ・インフラワー板橋市場が6月13日日水曜日の夜、いつものように行われました。川口、稲毛、マツヤマのほかに、今回は、三重県から駆けつけてくれた鉢物生産者の佐野拓也さんが参加、非常に締まった内容のある会となりました。面白かったです。

花の価値ってなんだ?それをお客さんに伝えるには何から始めればいいか。そんな話が中心となりました。いつも、時間ピタリと終わることで話し足りないまま、あれこれ独りで考えることが面白いです。要らない要素を削ぎ落としたらほんとに伝えたいメッセージが、見えてくるのかなと思っています。

話の流れの中で、個々の事例を語り合う場面と、それが何を意味しているかについてポイントを抽出する場面がある。いずれも問いの形で切り替えされるのですが、それが、とてもうまくいったのではないかと思います。

個々の具体的な事例は、参加者それぞれの経験に基づくもので、自分ではまったく知り得ない経験だったりします。想像もできない世界です。ただ、これをえんえんと話していくと、貴重な2時間がすぐに終わってしまい、よくある雑談と同じような結果となります。途中途中で、問いの形で考える視点を切り替えることがとても重要なのだとわかってきました。

こうした話の切り替えを「チャンクアップ」「チャンクダウン」と呼ぶ参考書もあります。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/nba/20090619/161526/
http://www.c-coach.jp/learn/card05.html

昨日は、「花の価値って何だろう」といきなり大きなかたまりに挑戦したので、まず、参加している4人の顔を見て、「鉢物と切り花とどっちが好きか」「お客さんに話をするときに、どっちのほうが、説明することが多いか?」といった問いから始めてみました。



「鉢物」を売る場合と、「切り花」を売る場合を比較すると、どっちが説明する時間が長いか?これは、ほんとに、鉢物のほうが、話すことがたくさんある、という結論になりました。つまり、コミュニケーションのタネになる話題がいっぱいあるのが鉢物だと。

では、なぜ、鉢物ではそういうことになり、切り花ではそうならないのか?

また、

なぜ、切り花の勉強会(デザイン講習会含む)は、いっぱい企画され、花屋が集まるのに、鉢物の勉強会はほどんど企画されず、(要するに、花屋が集まらない=興味がない)勉強する機会がないのか?

いずれにしても、自分の店のお客さんの立場に立って考えた時に、どのようなコミュニケーションの方法があるのか、考えることはいっぱいあるし、また、どのように、店のスタッフ、店主がお客さんとの関係を深めていくための学びの場を用意できるのか?

そんな話を4人でしました。要点が分かれば、それに向かって進むだけです。

200円の苗を2個売るのに30分も話をしている。1万円の花束を買って貰うお客さんには、用途と使いたい花を聞いて、「30分後にご用意いたします」、手渡すときは、「ありがとうございました」で一瞬。 何がいいたいかというと、1万円の花束は、お客様とのコミュニケーション形成には難しい商品だと言うこと。苗ものは、価格は安いけれど、お客さんとの関係性をつくるには非常に重要な価値がある。200円の苗を買うお客さんをどう他の機会に結びつけられるか?鉢物を買うお客さんと切り花を買うお客さんは別なグループなのかもしれないが、ほんとうにそうか? 「試飾」は試してみたのか?

お客さんとしゃべってばかりで、仕事にならない、っていうのが、よく聞かれます。しかし、ものを売るには、まず関係性をつくっていかないと話にならない。とくにこれからは。しゃべってばかりでは問題なのであるならば、どんなふうにコミュニケーションをはかるか、ここにマネジメントのしがいがあります。ロールプレイングをしたり、バーテンダーに来てもらったりして勉強するなどいいかもしれません。

花屋の売り場とは、コミュニケーションするためにある。

量販店の売り場は180°真逆で、コミュニケーションをゼロに近くもっていくために売り場を構成してある。最大公約数でつくられている。だから、コミュニケーションを避けたい人が来る。あまり話したくない人、自分でじっくり選びたい人、急いでいる人。売り場のことを分かっている人。

こうした人たちとは異なる人が花屋の店頭にはやってくる。それは、「濃い接客をする」という意味ではなく、ひとりひとりに合った接客をする。それが、セルフ売り場ではない花屋の店頭ではできる。

稲毛氏のお店には、窓の外に、グリーンカーテンのミニ見本園が準備されている。基本のゴーヤの他に、おすすめのつる性植物をいろいろと植え込む。ここは、スタッフにも芽をピンチしたり、肥料をやってもらい、みんなで、作業ポイントを覚え、お客様にアドバイスできるようにしている。見本があれば、語れる。見本があれば、売れる。来年の注文まで取ってしまう。

佐野氏の知人にこんな園芸屋さんがいる。最初は、自分の子どもが通う幼稚園の花壇に色を添えたくて苗を持って行って子どもたちと一緒にお話をしながら植え込んだ。翌年も春になると先生に声掛けられて植え込んだ。次の年は、先生が転任されそこでもやった。気づくと地域の何校もの花壇を植え込むようになっていた。費用は実費くらいしかいただいていないが、今も生き生きと植え込みに行っている。彼はこうした活動を花育とは呼んでいない。当たり前のことをやっているだけだ。時間をかけてつくりあげる人間関係は強い。関係づくりからは利益は生まれないけれど人間関係から得られる利益は計り知れない。

タネ、苗、鉢、一年草、多年草。私たち花屋が扱っているものは、収穫物。当たり前のように扱っているものの価値を支えているのは、生育にかかる時間や育ててくれた人たちの心と技。そこに秘密がたくさんある。売れるものだけを追いかけていくと次々と新しいものが必要になる。だけど、収穫される前の全ての工程を学べば、そこに、新たな価値が見えてくる。見えると新たな価値のサイクルも見えてきそうだ。


川口氏の一言。花の価値は、一人一人の心が決める。

と、いうことは、まず、私たちが、価値を見いだし、一人一人にもっと深く分け入らないとね。

川口氏、曰わく。私たち花屋は、日の当たるところにさらに陽を当てるようなしごとばかりしてやしないか?ほんとうは、陽の当たらないところにこそ光は必要なのに、そうなっていないことにすら気づいていないのかもしれない。