DIF 花屋の草の根勉強会 ダイアローグ・イン・フラワー

2011年、4月20日から始まった、目的を持たない対話だけの花の勉強会です。主宰は東京・三鷹の花屋コクリコ・ガーデン店主 川口信也。毎月一度、水曜日の夜8時30分から10時30分、東京板橋市場の仲卸フラワーロードさんの前で行っています。参加は自由ですが、事前に連絡をいただいています。

2011年5月19日木曜日

第2回めのダイアローグインフラワーの記録

5月18日水曜日、第2回目のダイアローグインフラワーが行われました。

参加者は5名。母の日を終えて、何を感じたか、花屋としてこれからどんなふうに進んでいくかという話を中心にあれこれ話しました。

次回は、来月6月8日水曜日を予定しています。

場所はいつものように、板橋市場の仲卸フラワーロードさんの前になります。

メールで事前にご連絡ください。

2011年5月16日月曜日

第2回 DIF 花屋の草の根対話会開催のご案内



みなさん、母の日は大変お疲れ様でした。

さて、5月の第2回DIF 草の根対話会ですが、
予定通り5月18日(水)に開催いたします。



時間 20:30~22:30
場所 板橋市場花き部仲卸フラワーロードさん店頭広場


前回同様、ひとりひとりの持ち時間を決めてしっかりと話し、また、聞く「ボイス・アワー」の第一部、


第二部のテーマを決めて話す、聞く「シェア・アワー」の二部構成でやります。


たいへんな状況の中で迎えた今年の母の日。


私達花屋のしごとの意味について感じたことなどの話も出てくると思います。


今、自分にとって何が切実な問題なのか問いを考え、未来に向けての目標を具体的に考えていくきっかけになればいいと思っています。


それでは18日にお会いしましょう!




川口信也




ダイアローグインフラワー 花屋の草の根勉強会 主宰は東京・三鷹の花屋コテージガーデン店主 川口信也。


毎月一度、水曜日の夜8時30分から10時30分、東京板橋市場の仲卸フラワーロードさんの前で行っています。


参加は自由ですが、事前に連絡をいただいています。
連絡先は dialogueinflower●gmail.com(●を@に変えて送ってください)

2011年5月10日火曜日

第1回めのダイアローグインフラワーの記録

花屋

「世の中の変化は長い時間をかけてゆっくりと変わるのかと思っていたが、震災を経験して、がらりと変わるのだと気づいた。」
「私たち花屋は社会とどう関わっていけるのか」「社会が私たちの何を求めているのか」


生産者

「昨夏は、暑さがひどくて年末の出荷まで響いた。3月に取り戻せるかと思った時に震災にあった。約3割の売り上げ減で終わった。来年は自分の取り組み方もがらりと変わる気がする。」
「今年も13が過ぎ、秋からまた花を販売していかなくてはならない。ヒントを考えていきたい。」


生産者

「震災後、動揺している。モチベーションが上がったり下がったりを繰り返した。」
「生きていくためにはほかの作物も作らねばならないか、と思うこともあった。ただ、野菜を作ってやっていけるのかと考えると、正直よくわからない。やめるひともいる。ほかの作物に切り替えていく人もいるだろう。」
「考えてもキリがない。植物に触れていると、不思議といろんな考えから離れて、楽しい気持ちになってくる。仕事は好きだ。」

花屋

「花に関わりだして20年、店を始めてから6年になる。スタッフもいる。今とても充実している。スタッフと共に勉強会などにも参加し始めた。」「震災後少し落ち込んだけど、4月になって売れ始め、3月の落ち込みを挽回しつつある。ずれ込んだだけではないか。」
「一昔前は、置いて置けば売れた、という状況があった。仕入れて売る、の繰り返し。ほかにあまり考えることがなかったかもしれない。」
「生産者のこととか、知らなかった。市場も閉鎖的だ。最近になって生産者のところに行ったりして、今、自分を変えていこうとしている。」
「変わっていきたい。ほかの人の考え方も知りたい。」


花屋

「店を開けて10年になる。56年目くらいまでは考えなくても売れた。お客様もたくさん来てくれていた。二店舗目を出したり、スタッフを増やしたり。」
「住宅地の立地で、お年寄りが多く来店してくれていた。二世帯住宅で、子どもの家族と一緒にひいきにしてくれていたが、親世代が年を取り、だんだんと来店が減ると子ども世代にはつながらなかった。売り上げは下がってきている。」
「そこでさまざまな手を打ってやってきた。店を充実させていくことと、自分が外に出ていくこととのジレンマがある。自分の理想としていた店づくりができているだろうか。」

仲卸

「はじめは花の小売りを経験した。使うことを学ぶ日々だった。花の色合いとか品種、使い方に関心が行っていて、どこの産地かなどということは二の次だった。そのあとで、仲卸のしごとにつくのだが、そこで初めて視点が変わった。産地、生産者によって大きな違いがあることを知った。」
「仲卸として、産地・生産者の情報をひきだしに入れていなければならないと思った。生産者と知り合い、やがて彼らの情熱を感じるようになった。」
「川上から川下へ、ストーリーのある花の売り方が求められているような気がする。いままで何となく売れていた、というところから、何のために花を売っているかを考えながら仕事をするようになってきた。」
「今、こんなときだから、癒される。そういう花のもっている魅力を消費者に伝えていきたい。」
「癒しに始まって、花は飾る習慣がつくとないと寂しくなる。仏花でもいい。定番の花だけでなく、仏花もいろんな花を使っていいと思う人が増えている。花屋さんにもいろんな花を使ってほしい。」


仲卸

「ブライダルから小売り、仲卸を経験してきた。花の仕事もいろいろだと思う。スタッフの立場や経営者の立場、それぞれの味方で考える。」
「今は、震災の影響で、少し、気持ちが止まっているような感じ」

仲卸
「今、鉢物を担当している。とても楽しいと思う。」
「もともと、花に興味があったわけではなく、植物に水をあげなければ枯れるということも知らなかった。気温の変化でだめになることもある。愛情が必要なんだと学んだ。」
「最初のころは、先輩と二人で先取りなどたたきあげられた。今はセリにも出ているが、お客さんの目はきびしいと思う。中途半端な仕入れはやはり買ってもらえない。お客様に育ててもらっていると思う。」
「今年は母の日の注文が少ない。例年の13にも届かない。」「うちは頑張るよって言ってくれるお客さんが今はまだ少ない。」(420日現在)


花屋をめざす中学生


「花が好きです。自分のうちが花屋なんだけど、みんなが店の前を通るときに見ていってくれる。花をよく見てくれるのは、子どもやお年寄りが多い。若い人は素通りする。ぼくは、『花を見るだけでも気軽に入れるお店』をやってみたい。」

フラワーデザイナー
「今、中二の息子と遊ぶのが楽しい。ギターを弾いたりしている。子どもは普段は帰ってくるとビデオを見たり、宿題をしたり、夜にギターを弾いたりしている。」
「花の見方を教える訳でもないが、何も言わなくてもよく見ている。とても素直な花の見方をしていて教えられることが多い。「らしいね」「おもしろいね」「好き」とか、感想を行ってもらえることで伝わることがある。「いいね!」で伝わることがある。」
「この花なんだっけ、という言葉が話のきっかけになっていたりする。」「花をきれいと思うあなたの心がきれいだと言ってきたけど、花の力は、受け取り手の心の持ちようが大切なんだと思う。被災地にも実際に出かけた。感じる心を引き出すことができたらと思う。平常心でいられないと花を見ても喜びをなかなか感じられないのかもしれない。」「本当のプロフェッショナルは、花のストーリーや生産者のこだわりなどといったものに頼ることなく、人々を引き込める力のある人のことをいう。扱っている自分自身が感動したことを自分の言葉で語れる人のことをいう。」


花屋

「このごろ仏教について関心を持っている。ブッダがなくなるときに弟子たちに残した言葉に『自灯明、法灯明』ということばがある。自分の明かりで自分の道を照らせ、真実の言葉で道を照らせ、という意味。いろんな人と知恵を分け合いながら、最後は自分の判断と行動で生きていく覚悟がいると思う。」
「震災でたくさんの人がなくなって無常観にとりつかれた。岡田斗司夫さんの評価経済社会という本を紹介する。この本の半分は文明論。堺屋太一さんの人間のやさしい情知ということを書いている。【どんな時代でも人間は、豊かなものをたくさん使うことは格好よく、不足しているものを大切にすることは美しい、と感じる】という言葉。時代は、今、変わり目にあり、社会は少ないものを大切に使うように舵を切っていくのだと思う。」


花屋

16年目。鉢物を中心に扱っている。親の代は盆栽を扱っていた。自分は専門学校に行き、20歳のころ都内の別な花屋で3年修業をして実家を継いだ。昔は生産者のことも知らなかった。みんなに教えてもらった。今は父母のことやスタッフのことなどいろいろ考えることも増えてきた。もう少し自分が店にいる時間を増やしていきたいと思っている。」


生産者

「高校を卒業して親の花づくりを継いだ。早い時期に花をやることを決めていたので、やりたくてついた仕事。楽しみにしていた。もう24年になる。本来は道しるべとなるべきなのかもしれないがそんなふうになれないでいる。今日は、今自分がつくっている花の原種を鉢で持ってきたから、みてもらいたい。104日に交配をして、今、種になろうとしている。これから3年から4年して最初の花が見られるだろう。」
「私たちがつくっている花は、何十回も交配を繰り返してつくられたものだ。100年前から先輩たちが交配してきた。こんなふうに見ている花には背負ってきた歴史がある。先祖代々引き継がれてきたもの。それがあって自分がしごとできている。生かされているんだと思う。つながっているのだと思う。」
「なのに、今の農業の現状を考えると惨憺たる思いがする。平均年齢は67.8歳、あと10年たつと78歳・・・農業は衰退していく。平均年収は120万円から130万円・・・。農業は、私たちが生きるために大切な産業であるはずなのに。『たいへんだから、やめろ』と親の世代の人たちは子どもたちにそう話してきた。なぜ、そうなったのかと思う・・・生産者にも責任があるんだ。」
「震災があった。テレビでショックな映像を延々と見てしまった。仕事をしながら、どうしても見ずにはいられなかった。すごくショックだった。情報を取りすぎたのかもしれない。何が信用できるのかと思った。」
「花と接しているとそういうことを忘れている自分がいる。長い歴史の1ページなのかもしれない。開き直るしかないと思う。」


花屋

「お店を15年やってきた。今、たいへんな時だけれど、なるようにしかならないと思う。自分の敬愛する先輩がいる。小学生の息子さんをがんで亡くされた経験を持つ方でそのかたが『なるようにしかならない』、と話す。それを思い出している。今の状況をただ、うけとめている。さっきの仏教の話を聞いて、「ネイティブアメリカンの言葉」というものを思い出したりした。被災した旭に行ってくる。写真で見た地割れや段差のついた圃場をこの目で見てくる。仕入れをしていこうと思う。」
「景気が悪いというが、お金がどこかちがうところで使われているだけ、日本は悪くなっていない。母の日にはみんなお金を使うと思う。彼岸もなんだかんだいってそれほど悪くなかった。4月に盛り返している。暮れもなんとかなるだろう。(注:母の日は、実際予想通りになりました)


花屋

「昨年の8月に主人が亡くなり、いろいろ考えた末、『高校生の息子がおとうさんの後を継いでやってみたいからお母さん、あと10年がんばって』という声をはげみにがんばっている。市場での仕入れもやったことがなかったが、周りの花屋さんにいろいろ教えてもらいながら仕入れをしている。お客様も応援してくれていてほんとうにありがたい。」(注:もっといろいろなお話をしていただいたのですが、ここでは書きません)




2部 震災の影響はどんなふうにあらわれたか。 私たちのしごとは、これからどうなるか?

3月の一番の需要期に相場が暴落し、生産者の花をできるだけ買ったが、むなしい思いをした。悲しいできごとだった。
・ガソリンがなくなったのが痛かった。お墓参りに行けなかった。その分4月にお墓参りした人が多かった。
3月は落ち込んだが、4月に需要がもどってきた。切花、鉢物ともによく売れた。
・母の日の予約状況は非常に悪い。市場も仲卸にも注文が入らない(注:連休に入る直前に受注が急に伸びて、結果としては高い相場のまま終わった)
・震災後に、募金活動をしたり、チャリティフラワーを販売したりした。今後も息の長い活動を続けたい。
・いろんな視点、情報があるべき。そしていろんな活動があるべき。

最後に、かねとういさおさんから、「花の力プロジェクト」についての話を聞いた。石巻にレン・オークメイドさんと一緒に行って、避難所に花を届け、デモンストレーションを行った。花は、それを受け取る人の心の持ちようがとても重要だと知ったという話が印象的だった。(注:その後、かねとういさおさんは花の力プロジェクトの代表に選出され、夏にイベントを計画中)